成年後見人制度は、本来、意思決定能力が低下した人々の財産管理や生活支援を目的としています。しかし、実際には制度の運用においてさまざまな問題が生じ、多くの被害者が出ています。ここでは、実際の被害事例を紹介し、制度の改善がいかに必要かを訴えます。
事例1: 意思決定の無視
Bさん(65歳、男性)
Bさんは、軽度の認知症を患い、独り身のため心配に思った親族が知り合いの弁護士に勧められて成年後見制度を利用することにしました。裁判所によって弁護士の成年後見人が選任されました。Bさんは自分の意思を伝える能力を持っていましたが、後見人はBさんの意思を無視して財産や生活に関する決定を行いました。Bさんが希望する住居の変更や医療措置が無視され、後見人の一方的な判断で進められました。
Bさんは、静かな住宅街で長年暮らしていました。彼は毎朝、自分の家の庭で花を世話することを楽しみにしていました。しかし、軽度の認知症と診断されたことから、成年後見人が選任されることになりました。Bさんの意思を無視した後見人とのやり取りは、次のようなものでした。
Bさん: 「この家には長年住んできました。庭の花たちを世話するのが私の生きがいです。引っ越しなんて考えられません。」
後見人: 「Bさん、この家は維持費がかかりすぎますし、あなたにはもう管理が難しいですよ。もっと小さなアパートに引っ越したほうがいいです。」
Bさん: 「それでも、この家で暮らし続けたいんです。家族や友人も近くに住んでいますし、ここでの生活が私には大切なんです。」
後見人: 「残念ですが、あなたの意向よりも経済的な安定が優先です。来月には引っ越しの準備を始めます。」
後見人はBさんの意思を完全に無視し、一方的に引っ越しを決定しました。ちなみに、この家の維持費は固定資産税や管理費、積立金などを含めると50万ほどで、それほど大きくありません。しかし、後見人はBさんを街から結構離れた木造で隣の家の音が聞こえるような場所に引っ越させました。家賃は1万2,000円ほどの格安物件でしたが・・・
このことにより、Bさんは大きな不安とストレスを感じ、体調も悪化してしまいました。
さらに、医療措置に関しても後見人は独断で決定を下しました。Bさんは、特定の病院での治療を希望していましたが、後見人は費用が安い別の病院を選びました。
Bさん: 「私はこの病院で長年お世話になっている先生に診てもらいたいんです。他の病院では安心できません。」
後見人: 「その病院は費用が高すぎます。あなたにはもっと安い病院で治療を受けてもらいます。」
Bさん: 「でも、私はその先生を信頼しています。どうか私の希望を尊重してください。」
後見人: 「費用を抑えることが最優先です。あなたの希望よりも、経済的な面を考慮しなければなりません。」
このようなやり取りが続き、Bさんの意思はほとんど尊重されることなく、後見人の一方的な判断で物事が進められました。Bさんは次第に自分の意見を言うことに疲れ、後見人の決定に従うしかないと感じるようになりました。Bさんの認知症の症状はあっという間に悪化し最終的に寝たきりになりました。もちろんその時に入れられた施設もその街で一番安い施設でした。
問題点:
- 被後見人の意思が尊重されない
- 後見人の権限が強すぎる
- 被後見人の生活の質が低下する
- 軽度の認知症でも後見人をつけることが可能
この事例は、成年後見人制度の運用における深刻な問題を浮き彫りにしています。Bさんのように、軽度の認知症でも医師の診断書と士業の企みにより後見人をつけられてしまうことがあるのです。裁判所は医師の診断を真剣には見ていません。また、後見人になりたい士業はなるために適当なことを申請書に書きます。
自分の意思が無視されることで生活の質が低下し、精神的な負担を強いられる被後見人は少なくありません。
私たちの団体は、こうした被害を未然に防ぎ、制度の改善を図るための活動を続けています。成年後見人制度に関する被害に心当たりがある方は、ぜひ私たちにご相談ください。皆様の声が、より良い制度改革につながります。